
あまりに大量に頂いたので、Peter Lipaさん人脈にどういう人たちがいるのか把握できないままに聴いていました。
そのPeterさんの現バック・グループでドラムを叩いているMarcel Buntajと過去のバックをつとめたギタリストのAndrej Sebanが参加しているロック系のグループがあります。ベーシストのOskar Rozsaを加え、3人の名前を並べた、seban,rozsa,buntajというバンドで、2005年のライブ写真というのがネット上にあったので、現在も活動中と思われます。
(3人の名前はスロヴァキア語の表記通りの名前ではありません。正しい綴りにはsやoの上に記号があります。)
どちらかといえば、アヴァンギャルド志向のロック系ジャズ・グループと分類できるかもしれません。しかし、土地柄なのか、どうも能天気な感じもあるのです。彼らの2枚組は、いきなりブルースをやってみたり、ピアノソロを入れてみたり、遊び心満載というか、好き放題というか、自分たちのやりたい音楽をやりたいようにやっているようです。コンピュータ・プログラミングを取り入れた数曲もあり、とにかくいろいろ実験要素も多いアルバムです。
この1999年作品の「Milion Bohov」(どう読むのでしょうね、とりあえずローマ字読みしています)は、中古盤なら入手可能のようです。1枚目がスタジオ録音で、上記の通りいろんな曲が入っていますが、特にタイトル曲の'Milion Bohov'が気に入っています。2枚目はライブ録音です。若干各曲が長すぎる感はありますが、ライブゆえに伸びたのでしょうね。こちらを聴いたほうが彼らの作風がよく見えてきます。
Andrej Sebanのギターは、最初聴いたとき、Jeff Beckに似ていると思いました。ただ、グループの作風はずいぶん違っています。スリー・ピースのロック・グループがよく出すようなガンガンぶっ飛ばす演奏はありません。北欧ものによくある茫漠とした世界とまではいかないですが、ややそれに近いところがあります。とんがっているようで、とんがっていない音です。攻撃性を感じません。3人のテクニックは凄いですが、バカテク大会の印象はありません。悪く言えば地味ともいえます。もう少し狙いを絞ったインパクトがほしい気もしますが、おそらくこれが彼らの持ち味でしょう。
ところどころ、Nils Petter Morvaelのアルバムを思い出しましたが、私はもともとDJ誰々の作る類の音楽には詳しくないので、うまくは説明できません。ただ、ごく自然に、現代にしかない音楽に行きついている感じがあります。ベーシストのOskar Rozsaの2003年のリーダー作では、さらにアヴァンギャルド風味が強まっています。
その後、ジェフ・ベックの1999年作品「Who Else!」を聴きましたが、傾向がまったく違うなあと思いました。詳細は書きませんが、こちらはビシッと競争社会に対応した感じの作品です。ただ、ギターの音はところどころ似ていると思いました。