2009年07月01日

井上淑彦・西山瞳ライブ(6/28)

6/28に聴いた井上淑彦(サックス)・西山瞳(ピアノ)デュオライブ(京都ラグ )の感想を書きました。今回は西山さんのピアノについての感想です。
今回はブログ用でなく、ダングル通信投稿用に書いてみましたが、ダングル通信は現在リフォーム中ですので、後で移動させたいと思います。
曲の紹介などは、このライブの主催(企画)者のサイトをご覧ください。
http://blogs.yahoo.co.jp/satoshis37/48500060.html

西山瞳さんの紹介をいろんな検索で見ると、エンリコ・ピエラヌンツィの影響がどうこうとか、いろいろ説明はありますが、あまりそんな解説は気にせずに聴けばよいかと思います。
自分も、一枚聴いたCDの雰囲気と、そのライナーノートがユーロジャズ評論と紹介で有名な杉田宏樹氏によるものだったことから、ユーロジャズっぽいしっとり感ばかりを予想してライブを聴きましたが、そんな予習は不要だったと思います。

ライブに行く前、毎日思うことで、ライブと関係ないことですが、自分はどうしてこんなに、ウカツなのか、どうしていつも、ヘンな思い込みで失敗するのかと、ウツウツしていました。時々ほんと、へこむのですよ。そんな思いも、ライブのお蔭で、すっかり忘れてしまいました。楽しい時間を過ごしました。
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では、感想です。長いです:

 2009年6月28日、京都の三条木屋町通に近い、ライブスポット・ラグで井上淑彦(サックス)と西山瞳(ピアノ)のデュオ・ライブを聴いた。井上さんについては、すでに何度か紹介したので、今回の西山さんのピアノ演奏について書きたいと思う。もちろんこの日の井上さんのサックス演奏も、いつものように楽しませて頂いた。

熱心な井上淑彦ファンである主催者のお蔭で、これまでいろんなピアニストと井上さんの共演を聴き、井上淑彦オリジナル曲の変化を楽しんできた。一番多いのは井上さんのグループFuseのピアニスト、田中信正であり、その他に林正樹とのデュオと石井彰と一曲だけのデュオ演奏を聴いた。いずれも素晴らしく、そして興味深いものだったが、今回のライブもやはり、これまでの演奏に勝るとも劣らないものだった。そして、井上淑彦曲ばかりではなく、西山瞳のオリジナル曲の演奏も、やはり趣のある素晴らしいものだった。

彼女はスピード感で追い立てるタイプのピアニストではないのかもしれない。もしくは、今回のライブではそれをやらなかっただけなのかもしれない。あまり奇策をかけてくるタイプの人でもない。しかし彼女は、破綻を恐れることなく自分の加えたいディテールを余すことなく演奏に盛り込む人だと思う。最初、彼女は意図的に安易な歯切れのよさを回避しているのかと思ったが、何よりも納得がいく音を選ぶことを優先しているのかもしれない。

こう書いていると、随分かったるい演奏を想像されてしまうかもしれないが、実際の演奏は迫力に溢れ、その表現はときに繊細で優美なものだ。優美といっても、井上淑彦のバックで弾く田中信正の優美さとは違う。自分は以前彼の演奏を見て、泡に包まれた小宇宙が、指先からいくつも浮かび上がるような気がした。今回、西山瞳のピアノを聴いていて頭に浮かんだのは、ダンサーの素足の踵がジャンプの後に床に着く瞬間である。しなやかで鍛えられた足が、迷いなく着地し、足先から踵にまで優雅な表情を見せる一瞬を、自分は思い出していた。ダンサーが単純な身体の動きにも独特のディテールを与えるように、彼女は音の周りにディテールを与える。それが、まさにダンスのステップのように、何度も反復されると、心の同じ場所に刻まれていく。その音の響きが、頭から離れなくなる。彼女の持ち味の一つなのだろうと思った。

毎回同じことを書くが、自分はピアニストの技を語れる立場にないので、ただ印象を語るだけだ。自分の勝手な想像力で書くだけであり、ピアニストの力量を評価をするつもりはない。ただ、彼女はいい意味で発展途上にあるような気がした。演奏には安定感があるが、おそらくこれからも、どんどん変化していくように思う。これまでに聴いてきた、若いピアニストたちと同じように。そんな予感がしたことも、今回のライブでの収穫だった。

いい曲をつくる人がたくさんいるのが日本のジャズの魅力だと思うが、彼女もまた、いい曲を作る人だ。ライブ中MCで、彼女には以前ゴスペルグループの伴奏をした経験があり、その蓄積が今の自分に役だっていると言うのを聞いて、なるほどと思った。彼女の演奏にソウル系の要素は特に多くないと思っていたが、ピアノの盛り上げ、コーラスの盛り上げが波のように繰り返すステージを想像した。
ライブ会場で彼女の新しいアルバムを買った。その場でサインを頂いた。すぐに聴くのもいいが、しばらくはライブで聴いた彼女の演奏の余韻を楽しもうと思う。
posted by ring-rie at 02:08| Comment(0) | TrackBack(0) | live stage | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする